【子どもの視力】目の悪さは遺伝する?

【子どもの視力】目の悪さは遺伝する?

街で顔がそっくりの親子を見かけたら、思わず「遺伝ってすごいなあ!」と感心してしまいますよね。

ところで、似ているのは外見だけなのでしょうか?

皆さんの中には、ご自身が目に悩みを持っていて、「視力の悪さが子どもに遺伝したらどうしよう」と心配されている方もいらっしゃるかもしれません。

世の中のお父さんお母さんにとって、子どもが健康に成長してくれることが何よりの喜びだと思います。当然、からだの悪い部分は絶対に遺伝してほしくないと考えるはずです。

今回は、そんな心配の種である視力と遺伝の関係についてご紹介します。

子どもの視力は低下傾向にあり

子どもの3人に1人が視力1.0未満

まずはじめに、日本の子どもたちの視力事情がどうなっているのか、データで見ていきましょう。

文部科学省が実施した「学校保健統計調査」(令和元年度)によると、視力1.0未満の子どもは小学生・中学生・高校生いずれも過去最多という結果が報告されています。

小学生に注目すると、1979年の調査では18%だったのに対し、2020年では35%にまで上昇。この40年間で、約1.5倍以上増加しています。

そのうち、視力0.3%未満は2.7%から9.4%になり、驚くべきことに約3.5倍以上も増えているんです。

もはや子どもの視力低下は社会問題となっているといっても過言ではありません。

では、目が悪くなる原因は一体何なのでしょうか?

目が悪くなる原因① 遺伝

成長期に発育する眼球

人間の目はカメラと同じような構造です。

レンズの役割をするものを「水晶体」、フィルムの役割をするものを「網膜」といいます。

カメラで写真を撮るとき、レンズを前後に動かしてピントを合わせますが、目の場合は水晶体がその厚み変えることでピントを調整しています。

そして、フィルムである網膜に映像が映ることで、私たちは「目が見える」ようになっているんです。

近視の程度が強いと遺伝の影響が大きい

子どもは、成長期に身長が伸びると同時に眼球も発育して大きくなります。

成長にともなって眼軸長(目の最も外側に位置する角膜から網膜までの長さ)が伸びることで、近視になる子どもが多いのですが、高学年になるほど増加する傾向があります。

この近視の程度が強い場合、遺伝の影響が大きいことが分かっています。

目が悪くなる原因② 生活環境

スマホ・パソコン・テレビ・ゲームなどの影響で

私たち現代人は、スマホ・パソコン・テレビ・ゲームなど、何かと近くを見ることが多い生活を送っていますよね。

近くばかり見ていると、目のピント調節機能が固定されてしまい、近視になりやすいことが分かっています。

昔に比べて目が悪い子どもが増えてきた原因は、ライフスタイルの変化による影響が大きいと考えられています。

スマホやパソコンなしでの生活が難しくなってきているこの時代、子どもの近視を防ぐ方法はあるのでしょうか?

外で過ごす時間が長いほど近視になりにくい

最近、意識して遠くの景色を見たことはありますか?

実は多くの研究から「外で過ごす時間が長いほど近視になりにくいこと」が分かっています。

そのメカニズムのカギを握っているのが、太陽光に含まれる「バイオレットライト」という光の波長です。

このバイオレットライトを浴びることが、近視の進行を抑制する遺伝子の活性化につながると言われています。

近視になりやすい成長期は、日頃から太陽の下で外遊びをする習慣を付けるようにしましょう。

目安は1日2時間程度。もちろん、暑い時期の熱中症対策やこまめな水分補給は忘れずに。

目に違和感があれば早めの受診を

子どものサインを見落とさないように

視力の低下には遺伝が関わっていることは残念ながら無視できません。しかし、生活環境も大きく影響していることもまた事実です。原因が分かれば、適切な治療で視力が回復することもあります。

「最近テレビ画面が見えずらくなったな」ぐらいの違和感であれば、日々の忙しさを理由に気付かないフリをしていませんか?v

あるいは、子どものそういったサインを見落としていませんか?

その違和感を放っておくと、深刻な視覚障害や失明につながる場合もあります。

どうしても怠りがちになってしまう目のケア。「病院なんて大げさ」なんて思わずに、少しでも違和感を感じたら早めの受診を心掛けましょう。