ハード、ソフトに次ぐ次世代のコンタクトレンズとして注目されている「シリコーンハイドロゲル
次世代のコンタクト”とも呼ばれる「シリコーンハイドロゲル」ですが、名前は知っていても、詳しく知らない方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、「シリコーンハイドロゲル」のどんな所が新しいのか、デメリットはないかなどをまとめてみました。
1.シリコーンハイドロゲルってそもそも何だ?
1-1.まずは基本のおさらいから
「シリコーンハイドロゲル」について知る前に、まずは従来型レンズであるハード、ソフトレンズについておさらいしましょう。
【ハードコンタクトレンズ】
ハードコンタクトレンズは、レンズ自体に微細な穴が空いており、そこから直接、目に酸素が届けられます。
硬い素材でできているので、装用時に違和感を覚えやすいこともありますが、その反面、黒目にぴったりとは張り付かず、まばたきのたびにレンズと目のあいだに涙が供給されるメリットがあります。
また、涙は目に潤いを与えるだけでなく、酸素や栄養分を届ける役割も担っているため、まばたきによっても、酸素が運ばれるのです。
【ソフトタクトレンズ】
ソフトコンタクトレンズは水分を吸収しやすい素材でできていて、レンズが含んだ水分を通じて、目に酸素が届けられます。
柔らかい素材なので、装用時の違和感が少ないことが大きなメリットですが、黒目にぴったりと張り付くので、まばたきによる酸素供給は難しくなります。
そのため、レンズに含まれていた水分が蒸発してしまうと、乾燥を感じやすくなってしまいます。
1-2.ソフトとハードの良いとこ取り!なシリコーンハイドロゲル
シリコーンハイドロゲルは、「シリコーン素材」と「ハイドロゲル素材」を融合させたることで、ハードコンタクトレンズの「酸素透過性の高さ」とソフトコンタクトレンズの「快適な装用感」を兼ね備えた新世代のレンズ素材です。
シリコーンは酸素が溶けやすく、ハイドロゲルは多量の水分を含有できるという特性があります。シリコーンのもつ特性がハードのように直接目に酸素を届け、ハイドロゲルのもつ特性がソフトのように水分を介して目に酸素を届けてくれるのです。
同時に、質感は水分を含む柔らかな材質のため、装用時の違和感を覚えづらいというワケです。
1-3.シリコーンハイドロゲルは乾きにも強い!
ソフトコンタクトレンズのデメリットでもある「乾きやすさ」も、シリコーンハイドロゲルでは克服されています。
ソフトコンタクトレンズが含む水分は、主に保存液といった外部からの吸収に委ねられますが、シリコーンハイドロゲルは、素材そのものにも水分が含有されています。
放っておけば、どちらも乾いてしまいますが、素材自体に水分を含んだ後者のほうが、乾燥に強いのです。
2.最大の特徴はなんと言っても「酸素透過性の高さ」
「シリコーンハイドロゲル」素材のコンタクトを知る上で、欠かせないキーワードが「酸素透過性」です。
これは「レンズがどれだけ酸素を通すか」を意味しますが、コンタクトレンズにおいて、酸素透過性の高さはとても重要です。
酸素透過率が低いレンズを使い続けていると、角膜に知らず知らずのうちにダメージが蓄積され、角膜血管新生、角膜内皮細胞障害などの深刻な疾患を引き起こしてしまうことがあります。
製品によって異なりますが、シリコーンハイドロゲル素材のコンタクトレンズは、従来のハイドロゲル素材のコンタクトレンズの約2.5倍~6倍もの酸素を通すと言われています。
ちなみに、酸素透過率の高さを比較する場合は、Dk/L値という、酸素透過係数(Dk)をレンズの厚み(L)で割った数値で比較することができます。
3.もちろんデメリットもあります
3-1.価格が割高
シリコーンハイドロゲル素材のコンタクトレンズの方が従来のハイドロゲル素材のコンタクトレンズよりも少し高価です。
レンズの種類によって異なりますが、同じ2週間交換型のソフトコンタクトレンズ同士で比較した場合、シリコーンハイドロゲル素材のコンタクトレンズの方が、1年間で約5000円ほど余分にコストがかかってしまいます。
3-2. シリコーンは脂質汚れに弱い
シリコーンは脂質との親和性が高いので、レンズに脂汚れが付着しやすく、除去しにくいというデメリットもあります。
なかでも「プラズマコーティング」という表面処理をしていないレンズに関しては、メイクなどの際に簡単に汚れが付着してしまうと言われています。
3-3. 相性の悪い洗浄剤があり、アレルギーになる可能性も
さらに、シリコーンハイドロゲルのコンタクトが合わないという場合には、アレルギー反応が起こってしまう場合も。
専門的な話ですが、特に「PHMB(塩酸ポリヘキサニド系)」という成分との相性が悪く、これを含む洗浄液・保存液を使用した場合、6〜7%の人が脂質によるアレルギー反応を起こしてしまうという調査結果もあるそうです。
4.【まとめ】最終的には、眼科医に相談!
シリコーンハイドロゲルはもちろん、ハードやソフトの場合でも、コンタクトレンズを使用するには、眼科医の診断が欠かせません。
また、レンズケアが正しくおこなえなければ、目の健康を損なうことにつながります。どのタイプが自分に合うのか、
体質はもちろん、ライフスタイルにも合わせ、適切な眼科医に相談することが何より大切です。