コンタクトレンズは角膜との密着度が高い分、装用時はどうしても角膜に傷が付きやすい状態にあり、日常生活で特に痛みを感じていなくても、角膜や結膜に傷がついている恐れもあります。
また、傷ができる箇所で炎症の種類が違うため、目のどこに傷がついているのかを把握しなければ、適切なケアができません。当然、適した治療を行わずに放置してしまうと失明の危険性も!
そこで、目に傷が出来る原因と治療法、そしてコンタクトレンズ使用者が注意すべきポイントについてご紹介します。
1. 傷がつきやすい「角膜」と「結膜」
「眼球に傷がつく」というのは、多くの場合、目のいちばん外界に近い部分にある「角膜」と「結膜」に何らかの原因で傷を受けた状態のことを言います。
「角膜」は、黒目部分の目のレンズとしての役目を担う透明の組織。「結膜」は、白目の表面を覆っている、白目部分とまぶたの裏側に広がる膜のことを言います。
「角膜」と「結膜」は外からの物理的な刺激に一番さらされている部位なので、目の部位の中では最も傷を受ける機会も多くなります。
2. 眼球に傷が出来る5大原因
2-1. 目の中に異物が混入した
角膜や結膜に傷がついてしまう原因として最もよく挙げられるのは、目の中に異物が入っているという状況です。
まつ毛などが入るとこすって出す人も多いと思いますが、これが傷をつける原因となります。ゴミや小さい砂のように硬いものであれば尚更でしょう。
また、逆さまつげは、通常外側に生えるべきまつげが、内側に生えてしまうことで目の中にまつげが入ってしまう状態を言います。目の中にまつげが入れば常に角膜や結膜を傷つける状態とも言えるので、早めに対処する必要があります。
目に違和感があり、異物が混入している場合は、こするのは止めて目の洗浄等をして洗い流すようにしましょう。
2-2. コンタクトレンズの不適切な使用
近年増えているのが、コンタクトレンズの不適切使用。コンタクトレンズを正しく装用しないと、角膜に傷(剥離)をつける角膜上皮障害の主な原因になっています。また感染性の障害、角膜の酸素不足による内皮障害の原因にも繋がっています。目の角膜は涙を介して酸素を取り入れて呼吸しています。
コンタクトレンズにより角膜の表面が覆われているとき、角膜は酸素不足の状態!酸素不足だと角膜は傷つきやすくなってしまうのです。コンタクトレンズを正しく使っていないと、角膜に傷をつけるだけでなく、微生物の温床にもなり、感染症も起こしやすくなると言われています。
正しいケアで細菌や汚れをしっかり落とし、常に清潔にする必要があります。
2-3. ドライアイ
あまり知られていませんが、ドライアイは「乾性角結膜炎」の俗称です。コンタクトレンズの付けっぱなしでもよく起こるドライアイは、涙が減って目が乾燥するのをはじめ、ゴロつき感、充血、目の疲れといった症状があります。
涙は目を保護し、栄養を与えていますが、目の表面が乾くことで様々なトラブルを引き起こし、重くなると黒目に傷ができたり、視力低下や痛みも現れます。
ほとんどの場合、軽症ですが、中には重い病気によってドライアイを引き起こしているケースもあります。
2-4. 目薬の防腐剤などの薬のアレルギー反応
なんと、目薬が目に傷をつける原因になってしまう場合もあります。薬剤の成分が合わなければその薬剤成分が触れた部分が炎症を起こしたようになってしまい、傷がつきます。
薬によっては角膜や結膜、瞼に強い炎症が出てしまい、角膜と結膜の境にある角膜輪部にダメージが集中します。角膜である黒目は普段は黒い状態ですが、この部分にダメージが出てしまうことで、角膜上皮に正常な細胞が供給されず、白く濁った色になってしまうのです。
目薬は目に良いと思って普段から使いがちですが、度を超えて一日に何度も使うと目が過剰な刺激を受け、傷つきやすくなるので注意が必要です。だからこそ、薬選びは慎重に行いましょう。心配な場合は眼科の医師に相談してみましょう。
2-5. 感染症
角膜や結膜に傷がついてしまう原因の最後は、感染症です。感染性の角膜炎の原因には細菌やウィルス、真菌など様々あります。
一般的な細菌であるブドウ球菌や、ヘルペスウィルスなどが挙げられます。植物によって目に傷が付いてしまったり、ステロイド系の目薬を長期使っていると感染します。
症状は細菌性よりも遅くに出るのですが、こちらも気づいたらすぐに眼科に行きましょう。
3. どうすればいいの?眼球についた傷の治療法
3-1. 自然治癒
さんざん怖い症状を述べてきましたが、眼球の傷は比較的小さくて浅いものが多いものです。こういった傷の場合には特別な治療は要りません。
角膜の一部が小さく剥離しているだけなら、軽傷のため、自然治癒することが多いのです。角膜は特に新陳代謝が激しく、小さな傷なら問題なく自然治癒します。
角膜は、1時間ごとに細胞が新しいものに生まれ変わっているという新陳代謝の速さなので、自然治癒も時間がかかることはありません。
3-2. 点眼薬で抗炎症・抗化膿効果
自然治癒では完治が望めなかったり、治りが遅いという場合は目薬が有効です。ただし、症状によって使われる目薬が異なるので、病院でもらった薬を混ぜないように注意しましょう!
例えば、「ものもらい」は細菌の感染が原因です。そのため、細菌に効果がある目薬を使わなければなりません。
また、紫外線で目が炎症を起こしてしまっているような場合には、炎症の鎮静効果がある目薬が必要です。このように、目薬は症状にあったものを使わなければ意味がないのです。
4. 【まとめ】コンタクトレンズを止めてケアに集中すべし!
「コンタクトレンズは角膜との密着度が高く、装脱着の際に傷が付いてしまうことが多いもの。目への負担も考慮して、家では眼鏡を、外出中はコンタクトレンズを付けている人もいますが、これでも十分なケアとは言えません。
出来ればコンタクトレンズの使用を一時止めて、ケアに集中すべきです。眼鏡に切り替えることで無数に出来た傷は自然と治ってきます。
最も怖いのは、コンタクトレンズが使えないことよりも、視力が低下して元にもどらない、さらには失明してしまうことです。視力に関わる目の組織と目の外との交通部分になるのが角膜であり、角膜に傷がついて炎症が波及すると、眼球の中の視力に関わる部分にまで影響を及ぼしてしまいます。
目の異物感や充血が続く場合には、必ず眼科を受診するようにしましょう。痛みが激しかったり、視力の低下や視界の変化が起こっている場合には、緊急を要する場合もあります。躊躇なく眼科や救急外来を受診するようにしてください!