2019.5.22 コンタクトレンズの語源は1冊の本に由来する!? Tweet Pocket 多くの人が視力矯正のために何気なく使っているコンタクトレンズ。略して「コンタクト」。瞳に装着する小さなレンズの名前が、いつ頃、どんな由来で、「コンタクトレンズ」と名付けられたかご存知ですか?1508年、コンタクトレンズの原理に初めて気づいたのは、かの有名な天才発明家レオナルド・ダ・ヴィンチですが、その当時から「コンタクトレンズ」と呼ばれていた訳ではありません。今回は、「コンタクトレンズ」の歴史をさかのぼり、命名した人物、時期、意味を探ってみました。 1.19世紀から盛んになったコンタクトレンズ研究 原理発見から380年後の大発明 ガラス製のボウルに水を張り、顔をつけて目を見開くと、あら不思議。「視界がとってもよくなる」と、レオナルド・ダ・ヴィンチがコンタクトレンズの原理を見つけたのは1508年のことでした。それから数百年の時が経ち、19世紀に入ると、コンタクトレンズの研究に没頭する研究者がたくさん現れます。1888年には、世界で初めて、人の目にガラスを直接装着する研究も行われるようになりました。これが、現在のコンタクトレンズの原型となります。 2.スイスの眼科医オーゲン・フィックの登場 研究成果をまとめた著書『Eine kontactbrille』 1888年、日本が明治時代に入って間もない頃、世界的に文明が進歩していくなかで、コンタクトレンズの研究開発も少しずつ進んでいきました。世界で初めて、ガラス製レンズを直接瞳に付けることを思いついた人の名前は、スイスの眼科医だったオーゲン・フィックです。彼は、この研究成果を『Eine kontactbrille』という一冊の論文にまとめます。現在、私たちが使っている「コンタクトレンズ」という名称は、この『Eine kontactbrille』が語源だと言われています。 3.「コンタクト」の語源『Eine kontactbrille』を直訳すると・・・ 端的に言えば「装着メガネ」 スイス人眼科医のオーゲン・フィックが書いた著書のタイトル『Eine kontactbrille』は、ドイツ語です。単語の意味をそれぞれ訳してみると、 ■ Eine =「A」 ■ kontact =「装着」 ■ brille =「メガネ」 であり、日本語にすると、“装着メガネ”を意味するタイトルになります。まさに、“コンタクトレンズとはなにか”を端的に表現した言葉ですよね。『kontactbrille』を英語表記すると、『contactlens』。コンタクトユーザーにとっては、こちらの英語表記に馴染みがあると思いますが、元々の始まりはドイツ語だったんですね。 「kontact=コンタクト」の訳し方がポイント コンタクトレンズの語源の中で、気になるポイントは「kontact=コンタクト」の意味です。「コンタクト」という単語は、一般的に「衝突」「接触」「連絡」の意味で使われることが多いですが、コンタクトレンズのコンタクトは「装着」と訳します。「角膜に接触するレンズ」と考えるよりも、「直接装着することができるメガネ」と捉えるほうが、コンタクトレンズの名前の由来に近いと言えるでしょう。 【まとめ】コンタクトレンズの名前は、第一人者の功績そのもの 現在では当たり前のように使われている「コンタクトレンズ」という名称は、実は今から約130年前の出来事に由来します。その命名者は、世界で初めてガラス製レンズを目に装着する実験を行ったスイス人のオーゲン・フィックでした。コンタクトレンズ開発の第一人者とも言えるフィックの功績を考えると、これからも大切にしていきたい名前だと思いますよね。 Tweet Pocket