2019.4.15 コンタクトレンズ保存液は「水」で代用できるの? Tweet Pocket 外出中、目の違和感や乾きを感じてコンタクトレンズを一時的に外したい時や、急にお泊まりの予定に変わってしまった時、コンタクトの保存液がなくて困った経験はありませんか?また、しっかり準備を整えてきたはずの旅先で、保存液をうっかり忘れてしまったという場面があるかもしれません。コンタクトユーザーの必需品である保存液がない時、「水」や「目薬」で代用しても大丈夫なのかは、気になるところですよね?今回は、コンタクト保存液の成分や代用方法についてご紹介します! 1.コンタクト保存液は、ただの水じゃない 保存液の成分とは? コンタクトレンズ専用の保存液は、1日使い捨てタイプのソフトレンズ以外を使用しているユーザーにとって、保管の際の必須アイテムです。一見、普通の水のように見えますが、コンタクトの保存に適した成分がちゃんと含まれています。主成分はもちろん「水」ですが、ハードレンズ用には極わずかの「非イオン界面活性剤」と殺菌効果のある「塩化ベンザルコニウム」が含まれていることが一般的です。また、ソフトレンズ用の保存液には、膨潤状態を保つための「塩化ナトリウム」が0.9%含まれており、レンズの形状や装用感をキープしているのです。 2.「水道水を代わりに使っても大丈夫」は大間違い! レンズと目の両方に悪影響 コンタクトの保存液を持ち合わせていない時、まず最初に思いつく代用品が「水道水」ではないでしょうか?でも、水道水を代わりに使うことは、とても危険です。気軽に手に入るからといって、たやすく使用するのはやめましょう。水道水には、塩素が含まれているのみならず、微生物の「アカントアメーバ」が潜んでいることがあります。微生物が付いてしまったレンズをそのまま使うと、「感染性角膜炎」などの眼病を引き起こす原因になってしまいます。レンズそのものに悪い影響を与えるだけでなく、「少しの時間だけなら大丈夫」ともう一度装用すると、目の病気にもつながりかねません。 ソフトレンズの場合 保存液が無いからといってソフトレンズを水道水に浸しておくと、レンズの含水率が変わってしまい、レンズの形状や見え方に異常が現われます。もともと水分を含んでいるソフトレンズは、水道水を使用した際の影響も大きいと言われています。2週間用・1ヵ月用のソフトレンズを使用しているコンタクトユーザーは、せっかくのレンズを無駄にしてしまうこともあるので、保存液以外の代用は絶対に避けましょう。 ハードレンズの場合 ハードレンズを水道水に浸けて保管するのも、ソフトレンズに比べて影響が出にくいと言われていますが、レンズにとって良いことは一つもありません。水道水に含まれる塩素がレンズの表面に影響を与え、細菌の繁殖が進むだけでなく、レンズの寿命を縮めるきっかけになってしまいます。 3.「どうしても」の時にのみ使える、保存液の代用手段とは? もちろんオススメはしません! コンタクトレンズの保存液を水道水で代用することの危険性をご紹介しましたが、急なトラブル時に交換用のレンズを用意していなかったり、近くに保存液を買えるお店がなかったりなどのケースも考えられます。外したレンズを一時保管する際、保存液の代用品がどうしても必要な時にだけ、わずかな時間だけなら試せる“裏技”が2種類あります。念をおしますが、もちろんオススメはしません! 水と塩で「生理食塩水」をつくる 真水に食塩を0.9%加えた塩水は、人間の体液に近い『生理食塩水』と呼ばれ、病院の点滴などにも利用されています。コンタクト専用の保存液の成分も、水に0.9%の塩化ナトリウムを加えたものであることから、『生理食塩水』を自作できれば、一時的に保存液の代用品として使うことができます。 用意するもの ・真水500m(ミネラル分の少ない軟水が望ましい) ・食塩4.5g(小さじ1杯に少し満たない量) ・ペットボトル まっさらなペットボトル入り天然水500mlを購入すると準備は簡単ですが、食塩を手に入れて、正確に4.5gの量を測ることは、なかなか難しいことでしょう。 目薬は目薬でも「人工涙液タイプ」を利用する コンタクト保存液を代用するものとして、「目薬」を思いつく人も多いのではないでしょうか?人の目に直接さす目薬なら大丈夫と思う気持ちも、分からないではありません。しかし、目薬を保存液の代わりに使う際にも細心の注意が必要です。たとえコンタクト用の目薬であっても、成分に「防腐剤」が含まれている目薬は、レンズの変形や劣化につながってしまいます。もし、代用品として目薬を使うのであれば、人の涙に近い「人工涙液タイプ」を選びましょう。ただし、代用できるのは短時間のみです。 【まとめ】保存液の代用は「しない」「考えない」が原則 コンタクトレンズはとても繊細 瞳に直接装用するコンタクトレンズは、小さく薄い見た目の通り、とても繊細です。だからこそ、保存液や洗浄液などのコンタクト専用ケア用品を正しく使用し、大切に保管しなければなりません。 緊急時に限っての代用品として『生理食塩水』と『人工涙液目薬』をご紹介しましたが、これらにはコンタクトレンズを保存する上での十分な効能は期待できません。なぜなら、市販の専用保存液には、乾燥や細菌・カビの繁殖を防ぐに相応しい成分がしっかり含まれているからです。いくら緊急事態であっても、保存液の代用は「しない」「考えない」が原則であるということをお忘れなく。 便利な使い切りタイプの保存液も発売中 コンタクトレンズの保存には、コンタクトレンズ専用の保存液以上に適したものはありません。もし、外出中や旅先で保存液を持ち合わせていないことに気づいたなら、近くのコンビニやドラッグストアで保存液を購入することを最優先に考えてください。最近は、便利な一時的な使い切りタイプの洗浄剤付き保存液も市販されています。ケア用品を正しく扱って、明日も清潔なコンタクトレンズを着けられるように行動しましょう。 Tweet Pocket